2021年4月号『ラウンジ』

1)食料支援プロジェクトについて
2)立教大学ユニオン設立のご報告
3)PCR署名に関するご報告

1)食料支援プロジェクトについて

多くの学生がコロナ禍でアルバイトのシフトが取消されたりするなか、親も収入減に陥り、最終的に学生が学業を断念し、退学してゆくケースが全国で激増しています。そこに至る過程で学生らは食費を切り詰め、一日1000円以下でやりくりしているという事例も報告されています。
社会が万能ではないなか、せめて食事だけでも応援したいという活動は全国で始まっていますが、筑波大や千葉大のような大型の支援は必ずしも(大学の予算上)簡単ではないようで、大学当局も忸怩たる思いがあると団交の席上で感じています。 私達の組合のメンバーである山梨学院ユニオンが1 月 23 日、山梨学院小学校の敷地を借りて学生への食料支援を実施したところ、400名を超える学生の来訪があり、全員に配布することができましたが、その成功は(日頃は対峙する立場の)法人本部が学生へのメール通知で協力してくれたことにも起因しています。
そこで、今度は横浜地区労の主催により、近郊の大学を中心とした食料配布を計画しています。その際は、突発的に配って去るパターンではなく、大学当局や、できれば大学内の教職員組合の応援も得て周知した上で配れればと考えています。 時期はGWから夏にかけて。対象となる大学はこれから絞り込んで行きますが、少なくとも大学当局は(一部を除いて)予想以上に好意的で、複数大学を考えています。支援はマンパワーでも、物品支援でもカンパでも広くお願いしたいので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。 (橫浜地区労働組合協議会議長 佐々木信吾)

2)立教大学ユニオン設立のご報告

なぜ立教大学ユニオンを立ち上げたのか?

 
2021年1月、大学だけでなく教育機関の正規非正規・すべての教職員が加入できる大学等教職員組合の執行委員会で、立教大学ユニオンを設立することが決まりました。山梨学院ユニオンや日本語教師ユニオンと同じように、成果が出せるよう今後とも頑張っていきたいと思います。では、なぜ立教大学ユニオンを作っていこうと考えたかというと、第一に専任でない教職員の雇用を安定化させたいという思いからです。立教大学に限らず、大学の多くは、専任でない教職員に、任期のない専任と同等の職務を任せています。にもかかわらず、賃金が低く抑えられ、手当や一時金や退職金もないのが現状です。雇い止めのリスクがあるため、待遇改善の声を上げるのは非常に勇気のいることです。でも、労働組合には、労使が対等に交渉を行なう団体交渉という伝家の宝刀があります。組合に入っていることを理由に雇い止めすることは違法ですので、組合を通じて安心して交渉を行なうことができます。立教大学で、声を上げる場を作ること。最初に考えたのは、そのことです。
 もう一つ大きな目標は、任期のない専任と連帯できる場を作ることです。いわゆる「非専任」問題の根底には、専任との間の分断ができることにあると考えています。この分断によって、専任との間に表面的な「利害衝突」が起きてしまい、労働組合の力が最大限発揮されなくなってしまいます。「非専任」の処遇が改善すると、専任の処遇が悪くなるのではないかという恐怖心がそこにはあるのです。
 専任の教職員が自分たちにマイナスになると考えてしまうことは、自ずと専任でない教職員の待遇を改善する力が弱まることを意味します。使用者にとってみると、そのような分断は「非専任」の労働力を安価なまま維持できるため、好都合なのです。では、このような分断を打ち破るには、どのようなことをすればよいか?それは、労働組合が専任と専任でない教職員の間の亀裂を縫合していくことだと考えています。立教大学ユニオンが、そうした場として機能するよう努力します。
 2月末に、立教大学で働く人たちを集めて、立教大学ユニオンの説明会を開きました。そこで、強く感じたのは、漠然とした不満をみなが抱えているのだけれども、それをぶつける方法がないということでした。また、専任と専任でない教職員の間に情報格差があることで、専任でない教職員は、大学から下される理不尽な決定に納得できなくてもどうすればいいのかがわからず、また専任と非専任が相互の問題を理解し連帯しにくくなってしまうということです。立教大学ユニオンは、まずは一人一人の声に耳を傾けることを大事にします。そして、大きな組織のなかで、無きものにされる小さな声を束ねて、専任でない教職員の処遇改善という難問に挑みます。

3)PCR検査署名に関するご報告

 これまでにみなさんからいただいた賛同署名(3月29日までの集約分)を、文科省大臣官房総務課公文書管理室文書係に3月31日付けで提出いたしました。新年度を少しでも安心して迎えられるように、という思いを、4月目前にお届けすることができました。  PCR検査の意義については、最初の緊急事態宣言から1年経って、ようやく周知されてきた観があります。まだなお懐疑的な見方もあり、賛同署名を集めるにもハードルが高い状況が続くなかで、ご賛同いただいたことに感謝申し上げます。 各大学では、昨年はかなわなかった卒業式や入学式が実施されるとともに、対面授業の再開に向けて大きく動いています。各大学での発表によれば、全授業のうち、対面授業は少なくとも5割、多くて9割以上という比率を占めるといいます。当然ながら、パーテーションや消毒液、換気装置の設置、教室定員の制限など、さまざまな感染対策が準備されています。しかし、第4波が始まったかという状況のなかで、あわせてPCR検査を行うという発表はなく、ましてや定期的に検査をしていくという大学は聞かれません。
 こうしたなか、基礎疾患のある教員や学生にまでも対面授業を強制するという大学が出てきています。診断書を提出した教員でさえ、対面授業を行わなければ雇い止めという事態が生じているのです。わたしたちはそのような大学とは個別の交渉を行っていますが、これらは、労働安全衛生法22 条 1 号の「病原体等による健康障害」を防止する措置義務に違反する疑いがあり、また対面授業を事実上強いることは、労働基準法 5 条の「強制労働の禁止」に違反し、 さらには労働契約法5条の安全配慮義務にも違反します。対面授業を実施するなら、オンライン授業の選択肢を提供するとともに、PCR検査もセットにすべきではないでしょうか。
 第4波は変異株が多くを占め、とりわけ子どもを含む幅広い世代への感染力の強さが危険視されています。ロックダウン後に再開されたイギリスの学校では、週2回のPCR検査を(2021年3月9日、テレビ朝日)、同じくオーストリアの学校では週2回抗原検査をさせているといいます(2021年3月3日、Forbes Japan)。アメリカでは、コーネル大学やブラウン大学などで、週2回の検査をしながら対面授業を行っています。一方、フランスでは3週間の休校措置が取られることが決定されました(2021年4月1日、毎日新聞)。  日本では検査体制が充分とは言い難い状況がつづいています。こうしたなかで対面授業を再開させることの危険は、設備面での感染対策だけで防げるものではないと思われます。将来ある若者に、感染や後遺症の心配をさせることなく勉学に集中できるよう、また教職員も安心して労働できる環境にしていくために、改めてPCR検査の必要性を訴えていきます。 引き続きご協力をお願いしたします。

カンパのお願い

 役員はボランティアベースで活動していますが、苦しい財政をやりくりしています。ぜひ大学等教職員組合にカンパをお寄せくださいますよう、心からお願いいたします。

*カンパ送金先

中央労働金庫(ろうきん)横浜支店 普通 195135 大学等教職員組合